前回に引き続きキャラクターの初期設定画稿をご紹介します。今回はジオン軍「インビジブル・ナイツ」の面々です。
●エリク・ブランケ
ジオン名家の出身というエリク。「信念を持って生きる騎士(ナイト)」のようなイメージでキャラクター固めを進めていきました。下の画稿は最初期のエリクのラフで、決定稿と比べ甘い顔立ちでやや子供っぽい印象からキャラクター設定がスタートしました。
前述のラフを元にすり合わせを行ない、強い意思で作戦を遂行する若き隊長、というイメージで精悍さを加味しつつ調整していったのが下の画稿です。とはいえ、邪(よこしま)な野心で行動するキャラではないので、強い意思の中にも清廉な野心や気品が醸し出されるような感じ、という難しいオーダーで鈴木さんにはご苦労をかけました。
●アイロス・バーデ
エリクとは幼馴染、部隊の中では部下にあたるアイロス。常に冷静沈着で頭の回転が早く、隊長としてのエリクに忠誠を誓い、自分はでしゃばりすぎずに作戦遂行に尽力する、という「男前」なキャラクターです。知性も感じさせつつ、「必要とあらば自分がいつでも隊長の盾になる」という覚悟も醸し出されるよう、エリクより大柄な体格のキャラとなっています。決定稿と比べ、輪郭などがややふっくらした印象の最初期ラフです。
●フリッツ・バウアー
アイロス同様、エリクの幼馴染であり部下であるフリッツ。性格的には感情的になりやすいが、その分思い切りのよさや度胸も併せ持っている、という設定で、冷静沈着なアイロスとの対比を狙ったキャラクターとなっています。また生粋のスペースノイドなので、髪型や髪色に地球のそれとは違ったイメージを持たせようという案が鈴木さんから提案され、初期画稿段階から加味されています。
●フィリーネ・イステル
敗戦による人員不足で、連邦に比べ年齢層が若いジオンの部隊ですが、その中でも最も若く実戦慣れしていないにも関わらず、健気に管制官を務める女性。それがフィリーネの作品中での位置づけです。シナリオモードでは連邦、ジオン両側面を楽しめる構造になっていることから、厳しさと女っぽさを併せ持つ連邦側のマオとは対極の、前向きな努力家でかわいらしい女性、というイメージで描いています。そばかすも初期画稿の頃から描かれており、彼女の若さを象徴する特長にもなっています。
アフレコの際も、序盤から中盤にかけては不慣れでいっぱいいっぱいな感じ、後半から終盤にかけては実戦の中で彼女なりの成長を遂げた感じのニュアンスで、フィリーネ役の藤村歩さんに演じていただきました。
●クリスト・デーア
エリクとは兄弟同様の付き合いであり、メカニックマンとして部隊を支える面倒見のよい部隊の兄貴分的存在、それがクリストです。初期画稿では少々多かった無精ひげを、決定稿ではやや少なめにするなどしてすっきりさせています。
●オットー・アイヒマン
最後の一兵になっても戦い続けるという信念を持った生粋のシオン軍人で、連邦のゴドウィンとはまた違った、「一歩も引かぬ強い意志」が感じられるようなキャラクターを目指して描いて頂きました。職業軍人という立ち位置が明確なせいか、オットーも初期画稿から大きく変更のなかったキャラと言えます。
●ヒルデ・ニーチェ
気が強く、弱音も吐かず負けず嫌い、そんな若き女性兵士。それがヒルデです。戦いに明け暮れる毎日、長髪を無造作に束ねた感じのヘアスタイルでパイロットスーツに身を包むことが日常となっている彼女ですが、平和な時代に生まれていれば相当凛々しい美人で魅力的な女性。そんなイメージで描かれた初期画稿です。
●グスタ・エーベル
若いながら言葉遣いや立ち振る舞いはしっかりしているエリクの軍学校時代の後輩という位置づけのグスタ。下の初期画稿では僅かに面長に見えますが、決定稿では等身的にもエリクより小柄にし、少々かわいらしさが感じられるようなイメージにしています。
●ロルフ・アーレンス
ドイツ系の血を引く、という最初期設定のせいか、初期画稿では異国情緒の感じられる顔立ちのロルフですが、グスタ同様、軍学校時代にエリクの後輩として行動をともにし、エリクに心酔しているという立ち位置と、真面目で任務に忠実という性格を強調するため、決定稿ではさわやかな印象の顔立ちになっています。
ちなみに各キャラクターの等身は以下のようになっています。若き獅子のようなエリクを左右から支える長身のアイロスとフリッツ、プレイヤーに対し強い口調で指揮するものの、実はシェリーよりやや小柄なマオ(但しスリーサイズは別)など、各キャラクターの関係性(及びプレイヤーと関わり)がより活きるよう、等身設定にもゲームならではの気配りをしています。
さて、両軍のキャラクター紹介に続いて、次回はデモパートのコンテ作成に関するこぼれ話をご紹介予定です。お楽しみに! |