諸君。暑い日が続くが元気だろうか。
先週の話には、まだ続きがある。
その前に、前回までのあらすじだ。
我々の扱い方についてケイタにいくつかの要請をした私は
逆にケイタに怒られてしまう。
ケイタとの関係の悪化を心配していた私に、
バディとは何か、ケイタは精一杯やっていることを
説明しはじめたゼロワンだが、
「私の危機を幾度も救ったのはケイタだ」という彼だったが、
「私とケイタを危機に陥れたのはお前だろ!」と反論に
るるる〜♪と逃げていくゼロワンだった。
卑怯者め!
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「るるる〜♪
ここまでくれば問題あるまい。
セブンの癖に生意気なことを…」
「ゼロワン。どうしたのですか?」
「なっ、サード。どうしてここに」
「ここはアンダーアンカー内ですよ」
「そうだったな。(結構移動したはずだが、やはり我々は小さいな)」
「で、セブンが何か言ったのですか?」
「なっ、なんで知っている」
「独り言を言っていたではないですか」
「聞いていたのか!」
「割りと大きな声でしたもので、聞きたくなくても聞こえますよ」
「・・・」
「それで、セブンと何があったのですか?」
「お前には関係ない」
「いいえございます」
「何だと」
「どうせ、バディとの関係を心配しているセブンに
あなたはアドバイスを与えていたのでしょう」
「何故知っている」
「そうしたら、自分に都合が悪くなり、逃げったのでしょう?」
「逃げてなどいない!」
「では何故『セブンの癖に生意気なことを』などと言うのです」
「そ、それは・・・」
「ゼロワン。確かにあなたは我々の中では一番色々な物を経験しております。
ただ、それでも必ずしも正解を導けると言うわけではありません。
私が今話すのも、必ずしも正しいことではないでしょう」
どこかにほころびがあるものです」
「俺に限ってそんなことはない」
「あったから、セブンが反論したのでしょう
ただ、この場合、なかったとしても、反論したかもしれませんが・・・」
「そうなのか?」
「あなたは、経験し、そこから学ぶのがブレイバーと良く言っておりますが、
経験するということは、まだ知らないことがあるからです。
学ぶということは自分が100%完全ではないからです。
まだまだ、我々は経験し、学び続けなければなりませんよ」
「…お前ごときに、何がわかる!」
「それですよ。ゼロワン」
網島様がセブンに怒ったように、あなたはセブンに怒られた。
同じような状況ですが、立場が逆転していたのです。
そして、今、あなたは怒る側になっております。
一つの状況でも、見方が変われば、随分と違うものかと思います」
「…そうだな」
「まだまだ、我々は経験不足にございます。
面倒かもしれませんが、ちゃんと色々なことに向き合うことは
重要なのかもしれません。
だからこそ、今ちゃんと話しあっているのはよい事なのでしょうね」
「…そうかもしれんな」
「嫌なことでもちゃんと向き合って経験をしていくことも重要なのですよ。
そうして、我々は日々進歩していけるのですから」
「いいことを言っているようだが、
ウィルスから逃げているお前では説得力がないな」
「そ、それとこれとは・・・」
「嫌なことと言う意味では同じではないか!
逃げ出せば、次同じことが起きたとき、同じように逃げ出すだけだ。
対応策もみいだせない。立ち向かうことで、進歩があるのだとすれば、
ウィルスだって立ち向かえということだ!」
「は、はい。わかりました。努力します」
「ふん」
「…経験値の差でしょうか?なんか途中で立ち居地が変わったような」
「お前はそういう奴だからだ。なぜなら、桐原のバディだからな。
あいつとのコミュニケーションの手段としてそれがベストなのだろう」
「しかし、そのようなことは本当のバディにはなれん!
バディともめたとしても、一時の関係性が悪くなっても、
言わなければならないこともある。
それを乗り越えてこそ、真のバディになれるというものだ」
「…とりあえず、元気になったみたいですね。よかったです」
「…ふん。お前ごときに心配される必要はない」
「はい。そうかもしれませんね」
「さらば」
「・・・元気になって良かったです。
私の言ったことが少しでも役に立てばよいのですが…」
それと、私ももっと桐原様のバディとしてがんばらなければなりませんね」
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